東京都内でワンルームを探している方へ。
初めての賃貸契約では「初期費用」がどれくらいかかるのか不安に感じていませんか。
家賃だけでなく、敷金・礼金・仲介手数料・保険料など、思わぬ費用がかさむことがあります。
本記事では、建築士×宅建士の視点から、東京のワンルーム賃貸にかかる初期費用の相場、節約のポイント、注意点を丁寧に解説します。

契約書上の注意点や、交渉の可能性も紹介します。
東京のワンルーム賃貸|初期費用の内訳

東京のワンルーム賃貸の初期費用は、家賃の4〜6か月分が目安です。2025/9時点の東京23区におけるワンルーム平均家賃は約10万円なので、平均40~60万程度が相場になります。
ただし物件の条件や契約の仕方で初期費用は、大きく変わります。工夫次第で初期費用を数万円〜十数万円下げることも可能です。
まず最初に内訳を理解しておくことが大切です。以下では、主要な費用項目を整理します。
敷金
敷金は家賃の1〜2か月分が一般的です。
敷金は、賃貸契約時に大家さんに預ける保証金のようなものです。支払った敷金は、退去時に「原状回復費用」に充てられ、残額があれば返金されます。
敷金は必ずしも固定額ではありません。例えば、築浅物件や設備が新しい物件では、損傷リスクが低く、敷金の減額交渉が可能な場合があります。また、フローリングや壁の素材によってクリーニングや修繕費用が変わるため、事前に設備仕様を確認しておくと安心です。
また、契約書の「原状復旧に関する特約」がとても重要です。特約には、退去時に通常の使用による経年劣化まで含めて自己負担を求める内容が含まれている場合があります。

特約をしっかり把握しないと、敷金が全額返金されない場合もあります…
契約時には必ず以下を確認してください。
- 「通常の使用による損耗」は敷金で補填されるか
- 「特約」で過剰な費用負担が求められていないか
- 修繕費用の上限や計算方法が明記されているか
礼金
礼金は家賃の1〜2か月分が目安で、大家さんへの謝礼として支払います。
新築や築浅の人気物件では、家賃1か月以上の礼金が設定されることもあります。これは、礼金を高く設定しても借り手が付きやすいためです。
敷金同様、礼金も交渉の余地があります。
物件の人気度や契約時期によっては、「礼金1か月分→0円」などの条件で契約できることもあります。特に東京では、人気エリアでは礼金が高くなる傾向があるため、条件交渉の余地を探すことが初期費用削減につながります。
仲介手数料
仲介手数料は、不動産会社に支払う手数料で、物件探しや契約手続きを依頼する対価です。
東京都内のワンルームでは、家賃1か月分が一般的な相場です。なお宅建業法上、仲介手数料の上限が法律で定められています。具体的には、「賃料の1か月分+消費税」が上限です。

上限を超えた請求がないか、必ず確認しましょう。
仲介手数料にも減額交渉の余地があります。物件の条件や契約時期、または不動産会社の裁量によっては、家賃0.5か月分や無料で契約できることもあります。契約前に仲介手数料の内訳や交渉可能かどうかを確認することが、初期費用節約のポイントです。
保証会社利用料
保証会社利用料は、賃貸契約時に家賃の支払いを保証する会社に支払う費用です。東京都内のワンルーム・1Kでは、家賃の0.5〜1か月分が目安です。
保証会社を利用することで、家賃滞納リスクを大家さんが軽減できるため、多くの物件で加入が必須となっています。
保証会社利用料の減額交渉は一般的に難しい傾向にあるため、保証会社不要の物件を探すか、他の費用項目での減額交渉にて初期費用を減らしましょう。
鍵交換費
鍵交換費の一般的な相場は1〜2万円程度ですが、鍵の種類によって金額は大きく変わります。
オートロックや電子キー、スマートロックなどの最新設備が付いている物件では、鍵交換費が3〜5万円になることもあります。特にセキュリティ設備が充実しているマンションや築浅物件では、費用が高めに設定される傾向があります。
また、契約書に「鍵交換義務」が明示されているか確認することが重要です。契約時に不明瞭な表現(不要なオプション等)がある場合、後から追加費用が請求される可能性があります。
自身で鍵交換可能な場合や、前入居者の鍵をそのまま使える場合は、数千円から1万円程度節約できることがあります。
火災保険料
火災保険は、入居者・物件双方のリスクを補償するために必須です。東京のワンルーム・1Kでは、初期費用として1〜2万円程度が相場となります。
なお、不動産会社が勧める火災保険に加入しなければならないというルールはないため、自身で探した火災保険に加入することで節約につながるケースがあります。
同じ補償内容でも、会社によって料金が異なるため、複数の見積もりを取るのがポイントです。また、不要な特約がついていないか確認することで、初期費用を抑えられます。
初期費用を安くする方法

東京のワンルーム賃貸で初期費用を抑えるには、契約前に工夫できるポイントがあります。無駄な支出を避けながら賢く契約する方法を紹介します。
フリーレント物件を狙う
フリーレント物件では、一般的に契約開始から1〜2か月分の家賃が無料になります。
設備や築年数の価値を損なわず、初期費用を大幅に抑えられる点が魅力です。契約書でフリーレント期間や共益費の取り扱いを確認し、トラブルを避けることが重要です。
敷金・礼金・仲介手数料ゼロや低い物件を狙う
敷金・礼金・仲介手数料がゼロ、または低い物件を選ぶことで、初期費用を大幅に節約できます。
また、契約書で条件を確認し、交渉の余地がある場合は積極的に交渉することがポイントです。
複数の不動産会社から相見積りを取る
同じ物件でも、不動産会社によって仲介手数料や初期費用の取り扱いが異なる場合が多いです。
複数の不動産会社から相見積りを取り、契約書や費用内訳を比較して、条件が有利な会社を選びましょう。
鍵交換費・火災保険料の見直し
鍵交換費や火災保険料も初期費用に含まれます。
これらは、不動産会社の勧めるプランではなく、自分で鍵交換業者や保険会社を選ぶことで費用を抑えることができる場合があります。
入居後に見落としがちなコスト

初期費用だけではなく、入居後にかかる費用も把握しておくことが大切です。これを知ることで、長期的に無駄な出費を避けられます。
更新料
東京都内のワンルームでは、2年ごとに家賃1か月分の更新料が必要な場合が多いです。
成功確率は低いですが、更新料の免除や減額交渉が可能か契約前に確認すると安心です。
インターネット・管理費
賃貸物件によっては、共益費や管理費、インターネット利用料が別途必要です。
契約時に支払い方法や内訳を確認し、余計な出費を防ぐことが重要です。
退去時のクリーニング代
退去時に必要なクリーニング費用は契約書に記載がありますが、金額や範囲が曖昧な物件も正直多いです。
宅建業法では、賃貸契約時に支払う費用の内訳や金額は契約書に明記する義務があります。つまり、クリーニング代についても「金額」「支払い時期」「対象範囲」を契約書に明示しなければなりません。明記されていない場合、後から追加請求されるリスクがあります。
また、国土交通省の「原状回復に関するガイドライン」によると、入居者が通常使用することで生じた経年劣化については、原則として費用負担の対象になりません。

例えば、家具の設置による床の軽微なへこみや壁紙の色あせなどは、入居者の負担ではないとされています。
しかし、クリーニング代が契約書で「退去時実費負担」と記載されている場合、通常の清掃費だけでなく過剰な修繕費を請求される可能性があります。契約書と国交省ガイドラインを照らし合わせ、過剰請求のリスクを防ぐことが重要です。
まとめ|東京ワンルーム賃貸の初期費用と注意点

東京のワンルーム賃貸にかかる初期費用は、家賃の4〜6か月分が目安です。
内訳を理解し、不要な費用を見極めることで、余計な出費を避けましょう。
初期費用のポイント総まとめ
- 敷金・礼金・仲介手数料は家賃の何か月分かを必ず確認、減額交渉可能か確認する
- 鍵交換費・火災保険料・保証会社料は交渉可能か確認する
- 退去時クリーニングや更新料など、入居後の費用も含めて計算する
これらのポイントを押さえましょう。
初期費用を抑える具体的な方法
- フリーレント物件や礼金ゼロ物件を選ぶ
- 仲介手数料を減額交渉する
- 鍵交換や火災保険の費用を見直す
- 契約条件の交渉やオプションの取捨選択
これらを実践することで、数万円〜十数万円の節約が可能です。特に東京では家賃が高いため、少しの工夫が大きな差になります。
